ゲンゴロウは、かつては日本各地の湖沼や水路などに多く生息する馴染みのある水生昆虫でしたが、水環境の悪化などにより、今では全国的に絶滅危惧種に指定されるほど見かけることができなくなっているそうです。

幼虫,成虫ともに水中生活が中心で、特に成虫は平べったい卵型で遊泳毛をもつ発達した後ろ足などを持ち、水中をかなりの速度で移動することができます。

成虫のサイズは40㎜前後で、日本最大の水棲甲虫ともいわれるそうです。

ゲンゴロウは蛹化の際に陸に上がって土の中に蛹室を作るという習性があり、ここで陸に上がれないと溺死してしまうそうです。

近年進んでいる水路の護岸工事などがゲンゴロウの絶滅の一因になっているのかもしれませんね。

このゲンゴロウを幼虫から飼育することで、現在の生息環境の厳しさを知ることができるともいえそうです。

ここでは、ゲンゴロウを幼虫から飼育する場合の方法やエサについてご紹介します。

ゲンゴロウ 幼虫 飼育 エサ

ゲンゴロウの幼虫を飼育するには

ゲンゴロウの幼虫は成虫とはまったく異なる細長い形をしており、蛹化をひかえた3齢幼虫になると長さが100㎜以上,幅は10㎜程度にまで成長するようです。

食性は肉食で、他の水生昆虫や魚,カエルやエビなどを生体捕食する生態を持ち、大きな顎でかみついて獲物の動きを麻痺させる体液と消化液を体内に送りこみ、その体組織を体外消化して吸引するということです。

共食いも珍しくないため、飼育は単体がいいでしょう。

400mlサイズの大きめのプリンカップに中和した水と水草や園芸用の黒土も少し入れ、幼虫を一匹ずつ飼育します。

液体状の糞を大量にするので、表面に油分が浮いている状態になったら水をかえてあげるのがいいでしょう。

水の汚れから呼吸困難になる場合がありますので、食べ残しの餌を含め、水環境には気を付けることが必要ですね。

また、蛹化の際には土にもぐるので、100㎜程度の厚みの土が必要になります。

終齢期の幼虫はエサを食べなくなり、蛹化前にエサを蛹室をつくる場所を求めて動き回るようになるので、上陸用の瓶を用意してあげましょう。

だいたい500~850cc程度の深みのある瓶に黒土に入れ、そこに強制的に上陸させるようにすると、しばらくすると土中に潜っていくでしょう。

うまくいけば、40~50日程度したら成虫が自力で出てくるということです。

出てきた成虫はまだ体が柔らかくて捕食対象にもなりかねませんので、まずは数日間カップでの個別飼育で水に慣らし、そこから水槽に放すようにします。

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ゲンゴロウの幼虫のエサは?!

ゲンゴロウの幼虫は、蛹になるまで2回の脱皮を行いますが、幼虫時代は生き餌しか食べず、脱皮の段階によって食べるものが変わるといわれます。

1回目の脱皮までの1齢期は自然下ではミジンコやボウフラなどを捕食する時期で、飼育する場合にはアカムシの生餌を、2齢期はそれに加えてミルワームやコオロギを与えたりするようです。

そして3齢期に入ると、自然下ではカエルやフナなどのような大型の獲物を捕食するようになるということで、飼育の場合はメダカや金魚などを適時与えるようにするのがいいということです。

注意点としては、冷凍や釣り餌のアカムシ,ミルワームに対して昆虫用の成長抑止ホルモンを投与されている場合があるため、たくさん与えると脱皮不全や蛹化不全を起こしやすいことが挙げられますので覚えておくといいでしょう。

まとめ

ゲンゴロウの幼虫は、成虫とはまったく異なる形状をしているのですね。

肉食で共食いをする可能性もありますので、蛹になるまでは個別飼育がいいでしょう。

基本的には生体捕食ですので、成長の段階に応じた適切な餌を与えるようにすることが必要になります。

また蛹化の際には上陸して土中に潜むので、その時期になったら観察を欠かさないようにしてタイミングよく適切な環境に移してあげることも大切になりそうです。

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