ゲンゴロウの幼虫がどのような姿をしているかご存知でしょうか?
成虫からは想像がつかない全く異なる姿かたちであるため、初めて見た人は驚かれるのではないでしょうか。
日本国内では、北関東から東北地方での採集例が多いそうで、近畿や西日本方面ではなかなか見つけることができなくなっているのが現状ですが、それでも山間部の休耕田などで発見されるようになってきたという報告もあるそうです。
完全な水中生活を行うため、見つけるのはなかなか難しいかもしれませんが、体の特徴や生態を知っておくと見分けがつきやすいでしょう。
ゲンゴロウの幼虫の見分け方は?!
ゲンゴロウの幼虫は水中生活を行い、尾部にある呼吸器官を水面上に出して呼吸をします。
成虫が丸くて平べったい甲羅のような形をしているのに対し、幼虫は灰色の細長い形で、泳ぎもかなり得意だということです。
頭部のかま状になっている大顎も特徴的で、すばやく泳いで獲物に近づいて噛み付き、獲物の動きを麻痺させる体液や消化液を体内に注入、体外消化して吸引するといった捕食の方法をとります。
共食いをしたり、自分より大きな獲物にも襲いかかるといった獰猛な性格をしているため、人間でも噛みつかれる危険がありますので注意が必要でしょう。
噛まれた場合激痛が伴い、毒により噛まれた部分が腫れたり組織が壊死する恐れがありますので、素手で触らないようにすることが大切です。
水田などに生息し、蛹化の際に畔などに上陸して土中にもぐる習性がありますので、幼虫を見つけることができるのは夏季のみとなります。
同じように水中に生息する昆虫にはタガメがいますが、ゲンゴロウは幼虫から蛹を経て成虫になるという『完全変態』という成長過程を持つ点で異なります。
近年の自然開発などにより、ゲンゴロウが蛹になるための田んぼのあぜなどがコンクリートで固められたことも、絶滅に瀕している原因のひとつといえるでしょう。
水生物館の裏で育てているゲンゴロウの幼虫も脱皮しました。やはり脱皮したては白っぽくなり、全長5cmくらいになっています。幼虫は2回脱皮して、その後サナギになります。 pic.twitter.com/uZocwatSRH
— 井の頭自然文化園[公式] (@InokashiraZoo) 2018年6月2日
まとめ
ゲンゴロウは幼虫と成虫が全く異なる姿をしており、蛹化の際に土中に潜ってしまうので、見つけることができるのは夏の間のみになるのですね。
幼虫時代は細長い姿で水中を自由に泳ぎまわり、網などですくうとドジョウのように体をクネクネとさせて跳ね回るそうです。
住み家である水田や蛹化の際に生息する田んぼのあぜなどが開発により減少していることで、ますます生存数を減少させているのですね。
絶滅危惧種といわれますが、捕獲や飼育を禁じられているわけではないので、もしも見つけた場合には飼育に挑戦してみるのもいいかもしれません。