水生昆虫のタガメ、ご年配の方には懐かしく、最近の若い方では名前は知っているけど実物はみたことがないとうい人が多いのではないでしょうか。
かつて水田などで普通に姿をみることができたタガメも、現在ではその姿をみることはさまざまな原因により難しくなっています。
ここでは、絶滅危惧種タガメの減少の原因についてご紹介します。
日本のタガメが絶滅危惧種となった原因
水生昆虫として身近な存在であったタガメも、現在その数はとても少なくなり、環境省のレットリストに指定される「絶滅危惧種」です。
自治体によっては「絶滅種」にもなっているほどタガメの数を減らした原因はどのようなものでしょうか。
もともとタガメが生息していた場所は、水田や池、沼や湖など水の流れがない停滞水域です。
人の手が入った環境を好み、いわゆる自然が満ち溢れた場所には潜んでいませんでした。
タガメは、人の手が入った環境に生息していましたが、きれいな水を好み水質には非常に敏感な生き物です。
このことが、タガメが絶滅危惧種になるほど数を減らす原因の一つです。
1950年代までは日本各地の大部分でタガメの姿をみることができました。
これは、地方の水田や湖だけではなく、都市部近郊の溜池や沼も含まれたほどです。
しかしながら、農薬の使用による水質悪化の影響で次第にタガメの数は減少、1980年頃には各地で姿をみることは少なくなり、地域によっては絶滅となります。
生産効率を上げる農薬の使用が水質の良さのバロメーターとなるタガメの減少に繋がるとは、なんとも皮肉な現象ともいえるでしょう。
BHCやピレスロイド系の農薬にタガメは特に影響を受けやすく、一度の使用でタガメが再びその場所に現れることは望めません。
タガメは数を減らしながらも丘陵地の溜池などで生息していましたが、ゴルフ場の乱開発による生息地の減少、また、ゴルフ場のコースなど敷地内の整備に用いられる除草剤などの散布が絶滅危惧種へと拍車をかけました。
まとめ
ここまで、絶滅危惧種タガメの減少の原因についてご紹介してきました。
水生昆虫の代表として親しまれたタガメも現在では、絶滅危惧種および地域によっては絶滅種に指定されています。
タガメ減少の原因は、農薬や除草剤の使用に加えて、土地開発による生息地の減少です。
現在もごく少数ながら、日本にタガメは生息しています。
完全な絶滅種とならないように関心と注意を心掛けるべきでしょう。